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『オラの悟飯をかえせッ!!』なんて題名は存在しなかった?

 このブログをご覧の方であればご存知の通り、ガーリックJr.が登場するドラゴンボールZ劇場版第1作目は劇場公開当時に何も副題が無く、単に『ドラゴンボールZ』という題名で公開されました。その後、ビデオソフト化時に『オラの悟飯をかえせッ!!』という副題が付けられたという事はWikipediaニコニコ大百科などに記載されており、Googleで検索すると多くのサイトで副題として使用されていることから、一般に広く認知されているようです。しかし、この副題について調べているうちに、どうやら本来は『オラの悟飯をかえせッ!!』というタイトル自体公式には存在しなかった可能性が浮上しました。

 まずなぜこの副題について調べるに至ったかというと、以下の複数の疑問があったためです。

(1) 同シリーズの他作品の副題と比較して明らかに異質
(2) 『オラの悟飯をかえせッ!!』という題を実際に公式ソフトで見たことがない
(3) Wikipediaの当該箇所の記述は出典が明記されていない

 (1)については、実際に歴代の劇場版ドラゴンボールの題名と並べてみると一目瞭然です。

神龍の伝説
魔神城のねむり姫
摩訶不思議大冒険

オラの悟飯をかえせッ!!
この世で一番強いヤツ
地球まるごと超決戦
超サイヤ人だ孫悟空
とびっきりの最強対最強
激突!!100億パワーの戦士たち
極限バトル!!三大超サイヤ人
燃えつきろ!!熱戦・烈戦・超激戦
銀河ギリギリ!!ぶっちぎりの凄い奴
危険なふたり!超戦士はねむれない
超戦士撃破!!勝つのはオレだ
復活のフュージョン!!悟空とベジータ
龍拳爆発!!悟空がやらねば誰がやる
最強への道
神と神
復活の「F」

ご覧のとおり、副題のうち多くは「体言止め」になっているのに対し、『オラの悟飯をかえせッ!!』は終助詞を伴った「用言止め」です。『超戦士撃破!!勝つのはオレだ』など他にも3つ用言止めの副題が存在しますが、それらは全て最初に名詞単体に感嘆符が付いた部分との2文で構成されています。『オラの悟飯をかえせッ!!』だけが用言止めの単文になっており、また、劇中キャラクターの台詞がそのまま題名に使われている唯一の例です。この題名がシリーズ共通の命名法則から外れているのは確かなようです。
 では(2)はどうでしょう。Wikipediaの記述によれば、「ビデオソフト化する際に『ドラゴンボールZ オラの悟飯をかえせッ!!』と付けられたが、DVDでは再びサブタイトルがなくなっている」とのことで、ここで言うビデオソフト化とはDVD以前のVHSやLDなどを指していることが分かります。では、VHSとLDで実際に『オラの悟飯をかえせッ!!』との副題は付けられていたのでしょうか。パッケージや中身を見てみましょう。


VHSのパッケージ
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VHSのラベル
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『地球丸ごと超決戦』VHSに封入されているチラシ
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レーザーディスク版ジャケット
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いずれも『ドラゴンボールZ』だけの題名であり、『オラの悟飯をかえせッ!!』の副題は全く見当たりません。ビデオカセットのラベルにも東映ビデオの公式ラインナップのチラシにもありません。実際に使われていないのにWikipediaにはビデオソフト化の際に副題が付けられたと書いてあり、また、(3)のとおりこの部分の記述に出展は明記されておりません。では、この副題の大元の出処はどこなのでしょうか。

 まず、Wikipediaの同作品の記事において、別箇所の出展に『ドラゴンボール大全集6巻』が挙げられています。そして実際に大全集6巻の作品紹介ページを見ると、『オラの悟飯をかえせッ!!』が題名としてはっきり記載されています。

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やっぱり『オラの悟飯をかえせッ!!』が実際に題名として使われているじゃないかとお思いになったかもしれませんが、『大全集』は集英社の出版物であって、東映自身がこの副題を使った例、いわば一次資料ではありません。Wikipedia等に書かれていて一般にも認知されているように、ビデオソフト化時に付けられた副題だということの証拠にもなり得ません。それに、『テレビアニメ完全ガイド』など同じ集英社による他の出版物においても、同副題が使用された例は確認できているうちで一つもありません。それどころか同じ大全集6巻内の別ページでは副題なしの『ドラゴンボールZ』となっていて、同じ書籍内においても混乱が見られます(あるいは公開当時のデータとしてあえて副題を取っている可能性もありますが)。

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では、大全集でのみ確認できるこの『オラの悟飯をかえせッ!!』という題は、一体どこから降って湧いた物なのでしょうか。答えはVHSのパッケージ裏にありました。

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ご覧のとおり、『DRAGON BALL Z』の題名の下に『オラの悟飯をかえせッ!!』としっかり書かれているではありませんか!やっぱりこれが正式な副題…と考えるのは少し気が早いです。先述のとおり、パッケージ表面・側面・ビデオカートリッジのラベル・公式ラインナップのチラシ、これらいずれにも『オラの悟飯をかえせッ!!』との題は見当たりませんでした。ではこの裏面の表記は何なのでしょう?他の作品のパッケージ裏面を見ればその正体が判ります。


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劇場版ドラゴンボール各作品のVHSパッケージ裏には、劇中での悟空の台詞を引用したキャチフレーズが一言書かれています。そう、「オラの悟飯をかえせッ!!」とは作品の副題ではなく、パッケージのデザイン上盛り込まれたキャッチフレーズだったのです。それが『DRAGON BALL Z』のロゴのちょうど真下に位置していて綺麗に整列していたために、たまたま作品の副題であるかのように見えたわけです。これを見た大全集の編集者が誤認し、『オラの悟飯をかえせッ!!』が正式タイトルであるかのように載せてしまったのが事の発端である可能性が非常に高いと私は踏んでいます。大全集発行から1年後の1996年に発売された廉価版VHSのパッケージ裏を見ると更にこの説を確信することができます。どう見てもこれ、副題じゃありません。


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 ただし大全集での表記単体では「ビデオソフト化時に加えられたタイトル」だという情報源にはならない為、Wikipediaに当該箇所を書き入れたユーザーは、劇場公開時の情報と後年の大全集の情報を照らしあわせて推測したか、同様にビデオパッケージを見て誤認したのだと思われます。
 なお、LD版のジャケット裏には「オラの悟飯をかえせッ!!」の文は全く見当たらず、別のキャッチフレーズが書かれています。ついでにサウンドトラックCDのいずれも『DRAGON BALL Z』のみの表記です。


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 もちろん『オラの悟飯をかえせッ!!』が副題ではなくキャッチフレーズであるというのは情況証拠に基づいた私の推測に過ぎませんし、もしかしたらこれが『神龍の伝説』のように(こちらの題についても後日検証いたします)正式に付くのか付かないのかあやふやな立ち位置の、しかし元から存在する副題であった可能性もゼロとは言い切れません。ただ、これまでに挙げた情報を総合的に鑑みるに、キャッチフレーズの誤認が『オラの悟飯をかえせッ!!』の真相であると私は99.9%確信しています。
 また、なぜこの副題がこれだけ広まるに至ったのかという点についてですが、これは大全集という公式書籍に題名として掲載されたことが一番の理由でしょう。加えて『ドラゴンボールZ』だけでは題名がTVシリーズと判別しづらいため、何かしらの副題がある方が都合が良かったことも重要な点であると思われます。

 私自身の推測とは関係なしに得られる客観的な情報としては、『オラの悟飯をかえせッ!!』という副題が正式タイトルとして明確に掲載された公式出版物の例は確認しうる限り『大全集』6巻の作品紹介だけであり、ビデオソフトでは副題として意図されたかも疑わしいパッケージ裏の文の例のみがあるということです。つまり東映自身が『オラの悟飯をかえせッ!!』の題を確実に用いたと断言できる例は一つも無いのです。
 でもやっぱり副題があったほうが便利じゃん!という声は否定しませんが、誤認から広まった可能性の高い題名が広く使われるというのはどうにも良い気はしないのです。東映の意志と関係なく勝手に付けていいなら、むしろ『オラの悟飯をかえせッ!!』なんてダサい題名より、もっと呼びやすくてかっこいい通称でも作ったほうが良いのではないでしょうか。少なくとも私はそう思います。

 なお、本記事執筆中に気づいたのですが、『オラの悟飯をかえせッ!!』の題は現在バンダイによる公式のストリーミングサービスで使用されているようです。やはり東映自身による使用例ではありませんので誤りである可能性が大いにありますし、そうだとしたら権利者でありながら何とも杜撰な話です。ただしこれによって「『オラの悟飯をかえせッ!!』の題名の下にドラゴンボールZ劇場版第1作目が販売されたことがある」という実例は、例え誤りであれ一応は存在したことになります。


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東映自身によるYouTube配信では副題無し
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 ドラゴンボールという超有名作品の映画でありながら題名ひとつまともに検証もされず、非常に疑わしい副題が一人歩きしてしまっているのは大変興味深いことであり、また、作品の知名度に反して作品外の部分に注視するマニアックなファン層があまり厚くないことの証左でしょう。私は今後もドラゴンボールの世界を一般とは違った角度から深く探求していきたいと思います。
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非公開コメント

当時の出版物において「大全集6巻」のみとあるんですが
7巻のキャラクター辞典「神様」の項目他にも同じ題名表記がありますね。
某所に追記したのは多分自分が最初ぐらいだったとは思うんですが、その頃に使った参考書が大全集の7巻の方なんで。

その一方で7巻ではドラゴンボール10年図鑑の欄ではドラゴンボールZのみ。
モノカタログのVTR・LD欄では副題有り扱い。
当時からあんまし統一はされてなかったみたいですが、VHS化で副題有りに変更というのは「ルパンvs複製人間」などをはじめとして
さして珍しいことでもありませんでしたから。
90年代はあんましファンブック的なものが一般的に浸透してないので、さらなる資料が出てくるかはわかりませんが
一応参考まで。

Re: タイトルなし

>Macさん

コメントに気づかずだいぶ経ってしまいました。失礼致しました。

> 当時の出版物において「大全集6巻」のみとあるんですが
> 7巻のキャラクター辞典「神様」の項目他にも同じ題名表記がありますね。
> 某所に追記したのは多分自分が最初ぐらいだったとは思うんですが、その頃に使った参考書が大全集の7巻の方なんで。

情報ありがとうございます。そちらにも記述がありましたか。6巻より後ということは編集者が同じ大全集の前巻を参照したか同じ人物が書いたかといったところでしょうか。

> その一方で7巻ではドラゴンボール10年図鑑の欄ではドラゴンボールZのみ。
> モノカタログのVTR・LD欄では副題有り扱い。
> 当時からあんまし統一はされてなかったみたいですが、VHS化で副題有りに変更というのは「ルパンvs複製人間」などをはじめとして
> さして珍しいことでもありませんでしたから。

しかし本記事のとおり実際問題としてVHS・LD共にパッケージに題名として記述されていないわけで、東映自身の一次資料では相変わらず使用例ナシですね。確かに題名が紛らわしい作品ではビデオソフト化時に副題が付け足されることはままありますが、大全集の記述を以って「VHS化で副題が付いた」と言い切るのは相当に無理があるでしょう。
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Author:file_under & ケイ
世界のドラゴンボールの管理人です。気が向いたら更新していくのでよろしくお願いします。

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