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理想的なドラゴンボールの映像ソフトとは

 本館の啓蒙部でも書いてきたとおり、現在公式に販売されているドラゴンボールシリーズの映像ソフトは全くもって完璧とは言いがたいものです。これが口うるさいファンの多いガンダム等であれば販売元がレビューでボコボコに叩かれているところなのですが、ライト層の多いドラゴンボール故に数々の不備・不満点が見過ごされてしまっている感があります。ZのDVDBOXが発売してから10年以上が過ぎたうえに原作漫画30週年を迎えた今、Blu-rayで旧作のHDリマスター版が発売する可能性は高まっています。果たして理想的なドラゴンボールの映像ソフトとはどんなものなのか、どうするべきなのか、もしかしたら関係者の方がご覧になって参考にしてくださるかもしれない淡い期待を抱きつつ書き綴ってみます。

 まずは映像面についてです。啓蒙部で指摘したとおり、ドラゴンボールの現行DVDは制作当時に本来意図された色味とはかなり違った色合いの映像になってしまっています。ドラゴンボールの旧作はどれもフィルムで撮影されて残されていますから、一般の家庭にある昔の家族写真が次第に色褪せていくのと同じでアニメ本編の色も落ちていってしまうわけです。色の落ち方の過程も写真同様で、最終的には赤一色に近いような状態になってしまいます。フィルムは時とともに化学変化を起こすのでこれはどう足掻いても避けようのないことで致し方ありません。

 では、実際にどのように褪色しているのか見てみましょう。以下の画像は上が公式に保管されているセル画のスキャンで下がDVDの映像です。セル画も絵の具が経年劣化しますが、20年やそこらでフィルムのように劇的に色味が変化することはありません。また、これらは個人的なスキャンではなく東映アニメーションからアメリカのFUNimation社に提供されたデジタルデータをFUNi社配布のpdfファイルから取り出したものです。

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cel02
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cel03
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セル画と比較すると空が緑がかっていたり肌が赤らんでいたり、元の配色とはかなり離れてしまっていることがお分かり頂けたでしょう。HDリマスターを施してBlu-rayで発売した場合、こういった色味はデジタル補正されて元通りになる可能性が高く、あまり心配は要らない点ではあります。ただし『改』では色補正を施したにも関わらず作品の性質上元の色とはまた異なったデジタル製作風の淡い色彩に変えられたため、全くもって心配無用とは言えないかもしれません。兎に角、褪せてしまった映像の色味を元通りにすることがここでは理想であるということです。


 続いては音声面です。これまでにも口を酸っぱくして申し上げてきました通り、現行DVDの音声は初回放送時と比べて著しく質が劣ります。初回放送では磁気テープに記録された元の綺麗な音声が使われたのに対し、DVDにおいては再放送と同様のフィルム映像の脇に記録された音質の劣る音声が使われているからです。以下の動画の音声は1989年当時のフジテレビを録画したVHSから取り出したものです。





初回放送で用いられた「シネテープ」と呼ばれる磁気テープは映像フィルムと同じサイズであり大変嵩張るため、恐らくは後に上書きして使いまわされたり破棄されたりしました。なぜ質の低い方を残してもっと良いものを破棄してしまうのかという点ですが、これは説明すると大変長くなってしまうので割愛いたします。兎に角それが当時のアニメ業界で生き残っていた習慣であるということです。ですから、東映の手元にはDVDに収録された質の悪いものしか残されていない可能性が極めて高く、これはもう仕方のないことなのです。

 ならば、これをどう改善するべきなのでしょうか。これはごく単純な話で、当時の初回放送を録画したビデオテープから音声を取って使えばいいのです。しかし作品そのものが映像ごと現存しないならともかく、音声のためだけに一般家庭の録画を集めて復刻した例は未だかつてありません。前例が無いことが最大のネックです。また、録画を用いるうえでいくつか問題点があります。まずは音質の良い録画を手に入れることです。ビデオテープの音声は主に2種類あり、テープにリニア記録されるノーマル音声トラックと回転ヘッドで周波数変調して記録されたHi-Fi音声トラックがあります。Hi-Fi音声トラックの方が圧倒的に音質が高いため、使用する録画テープはHi-Fi音声に対応したデッキで録画されたものであることが大前提です。しかしHi-Fi方式のビデオデッキが世に出たのは1983年のことで、一般に広く普及したのは80年台末のことでした。1986年から放送開始のドラゴンボール初期の話を全てHi-Fi音声で揃えることは決して低いハードルではありません。ソニーの規格のビデオであるベータマックスではHi-Fiの他にもβノイズリダクションという高音質記録モードがありましたのでそれでも代用可ですが、Hi-Fiよりは劣るうえに再生可能なデッキが限られるためあまり現実的ではありません。また、待ち構えているハードルはビデオの記録方式だけに留まりません。地方局の同時ネットではなく、関東内でフジテレビを録画したものを使用しなければならないのです。昔から日本の地上波テレビ放送においては自ら番組を発信する(主に在京の)キー局が流したものを地方局が中継することによって番組の同時放送を実現しています。現在では地方局へは光通信によってデジタルデータで送信されていますが、アナログ時代はNTTの基地局から電波を発して地方局へ届けていました。この過程でノイズを防ぐために音声の高域をカットしてしまっていたため、例え初回放送であっても地方局の同時ネットでは音質が劣ってしまうのです。

下の地方局の音声は11kHz以上がカットされている
fuji-comparison.jpg

課題は更にあります。テレビ放送時には緊急ニュースがたまに流れるため、ニュースを知らせるビープ音が紛れ込んでしまうことがあり、該当箇所を補間しなくてはいけません。ここでは逆に地方局の録画が活躍します。緊急ニュースは各局の側で入れているので異なる局であればタイミングが違っていたりそもそも流れなかったりするのです。よって、ニュース速報の流れる部分だけ地方局の録画を継ぎ充てればいいわけです。もう一つの課題は初回放送の音声は稀にヨレてしまうことがある点です。フジテレビの側で流す際に音声テープが何らかの理由でヨレてしまい、音がぐにゃりと歪んでしまっている箇所がいくつか存在します。これは録画テープ側の問題ではないことが複数の録画を集めることによって判明しています(そもそもHi-Fi音声は原理的にテープの走行がふらついても音程は乱れないわけですが)。これはテープの再生速度がふらついているだけですので、該当箇所の速度をデジタル補正すれば解消可能です。


実際に初回放送時に音が歪んている例とデジタル補正後の比較



音声における最後の課題は全体の再生速度の違いです。何らかの理由により、当時のフジテレビのテレシネはアナログカラーテレビ放送規格NTSCの標準フレーム数29.97fpsに合わせたフィルム再生速度である23.976fpsではなく、白黒放送時代及び映画上映の速度である24fpsで行われているのです。この辺の技術的用語をご存知でない方は「普通より少し速い速度で再生されている」とお考えください。ですから、そのまま音声を取り出してもだんだん映像が遅れてきてズレてしまいます。しかし単に全編を通して速度が異なるだけですので、プロ用の音声編集ソフトを使えば容易に修正可能です。ただし私の知っている中ではドラゴンボールZのTVスペシャル1作目だけAパート・BパートとCMを挟むごとに何故か速度が変化しているため、これだけは映像とのシンクロに少し手間が掛かります。

 ここまで詳しく見てきた音声面での課題と解決策ですが、ご覧のとおり理想を目指すには多くの困難が伴います。商業的な面で見れば東映アニメーション自身にとってこれだけの事をする理由はないかもしれません。しかし、後世に残すべき傑作が本来より劣った形でしか公式に保存されないのは大変歯がゆいことです。それに加え、つい先日の永井一郎氏の逝去など、オリジナルの声優陣も一人また一人とこの世を去っていっている現実があります。二度と再現できないオリジナルの音声を少しでも良い形で残していくことは文化的に大いに意義のあることだと思います。また、映像に加えて音声の面でもアップグレードを施すことはBlu-ray版の販売促進に多少なりとも貢献するはずです。東映アニメーション及びソフト販売会社による英断を切に願うばかりです。

 なお、これらの音声面での課題はドラゴンボールGTにおいては全く無縁なことです。GTのみはテレビ局へフィルムと音声テープではなくD-2と呼ばれるデジタル方式のビデオテープで納品されていたからで、現在でも元の高音質な音声が製作側に現存します。しかしながら、DVDにおいてはGTもフィルムの劣った音声が用いられました。原因は全くもって不明ですが、恐らくは単純に失念していたのでしょう。近年の再放送においてはオリジナル音声とDVD版と同じニューテレシネマスターを組み合わせたものが使われており、東映の側もDVDの際の失態に気づいたようです。GTのみはBlu-rayにおける改善がかなり期待できます。


 最後に注目するのは収録内容物です。幸いドラゴンボールシリーズはDVDの時点で全話無修正で完全収録されているため、基本的にこれ以上求めるものはあまりありません。本編について強いて言うならばエンディングと次回予告の順番を元通りに戻すことでしょうか。テレビ放送においてはドラゴンボールはいつもオープニング→本編→次回予告→エンディングという順番で流されているのですが、なぜかDVDでは次回予告が最後に入れられていました。これは凡ミスだったのか、同様の仕様であった北斗の拳のDVDではHDリマスター版BOXにおいて修正されました。細かいことですが、オリジナルの視聴体験を再現するという意味では無視できない点です。また、一部予告篇がDVDには収録されておりません。テレビシリーズにおいては前番組Dr.スランプ アラレちゃんのラスト4週に渡って流された無印ドラゴンボールの新番組予告2種類と無印最終回に流されたZの新番組予告が存在し、これらが現存しない場合はビデオ録画から起こして収録が可能です。





劇場版作品でも東映まんがまつりの同時上映作の関係でDVDに収録されていない予告がありますが、これは権利上難しいかもしれません。ただ、レーザーディスクの時点ではきちんと収録されていたので不可能ではないはずです。





TV通常回の予告は初回放送時には一部短縮版が存在し、後半15秒で劇場版の招待券など視聴者プレゼントを告知することがありました。こういったものも特典として収録されれば更に良いのですが、普通はそういった類の「当時専用」のものは映像ソフトに収録しないのが通例です。入れなくても仕方ありません。ただしこれが原因でTVスペシャル2作目の予告が収録漏れしてしまっている(1作目のバーダックはDVDに予告収録)ため、それだけでも入れていいのではないかと思います。本編以外では映像特典においてまだ追加収録が望めるものが存在します。TVシリーズ・劇場版共にオープニング・エンディングのノンテロップ版がDVDではごく一部のバージョンのものしか収録されていないため、現存するのであれば全て入れることが望ましいです。特に単なるマイナーチェンジではない無印2つめのオープニングアニメーションは収録する価値があるはずです。次のこれはもうさほど重要なことではありませんが、テレビCMもDVDではごくごく一部しか入っていませんでした。権利上難しいかもしれないスポンサーのものはともかく、番組自体の番宣スポットは収録可能なはずです。





そして、初回放送当時に放送された特番でDVD未収録のものがいくつかあります。1992年の夏に劇場版Z7作目公開の宣伝として放送されたスペシャルと1993末の『全部見せます 年忘れDRAGON BALL Z』、そして翌年の正月に放送された『ちびまる子ちゃん』とのコラボ映像が合間に流れる劇場版Z6作目のスペシャルです。コラボものは権利上収録が絶望的ですが、前の二つは合間にちょろっと追加アニメーションが流れるだけとはいえ孫一家団欒の様子や珍しい悟空と悟飯のタキシード姿など、他では拝めない貴重な映像があります。十分に今後収録する価値はあるでしょう。






他にもテレビゲーム用に製作されたアニメーションを入れることは可能でしょう。各種オープニング映像や『アルティメットブラスト』などのゲーム中のムービー、そして「てれびっこ」の短編アニメや『超サイヤ人絶滅計画』のような長めのものなど、多くの専用アニメーションがゲーム用の汚い高圧縮映像やVHSでしか世に出ていません。プレイディアの『真サイヤ人絶滅計画』のようなものだと収録は困難(というかマスターは現存しているのでしょうか?)でしょうが、そのまま取ってきて入れれば済むものは収録は容易なはずです。



 さて、ここまで長々と数多くの事項を並べてきました。言うまでもなくここで挙げたこと全てが実現すれば、それがドラゴンボールの完全な理想の映像ソフトになることでしょう。しかし商売は商売です。実際にそれによってどれだけ売り上げにプラスになるのか、判断して実行するのは製作・販売側の方々です。現実的な問題として全て叶えるというのは無理な話でしょう。挙げた中でせめて実際の本編に関わる映像音声の部分だけでも本記事で書いたように改善されれば、もうそれだけでも十分すぎる話です。特に音声については商売やファン心理を超えて文化的に必要なことですらあると思います。そもそも旧作のBlu-ray版の発売自体が全くの不明である現時点でこの様なことを望むのは高望みにも程があるわけですが、どれだけ遠い先の事になっても一つでも多く実現して理想のドラゴンボールのソフトが生まれることを心より願っています。

頼みますよ、東映さん。
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テーマ : アニメ
ジャンル : アニメ・コミック

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【一般家庭から音源を募集することについて】


近年、映画のTV版の吹き替えが映像ソフトに収録されることがあります。そのときTV局が音源を紛失してしまっている場合、当時の視聴者から番組が録画されたVHSやβマックスを募集することがあるんです。
音源を募集しているフィールドワークス社→ttp://www.fieldworks.ne.jp/results4.html
20世紀fox社はTV版吹き替えの収録に意欲的で、吹き替えの帝王なるBDシリーズを発売しています。昨年発売された「ダイ・ハード」のBDは視聴者から音源が募集され、テレ朝版、フジ版の2種類の吹き替えが新たに収録されました。

ですので、DBにおいても、本放送の録画を募集して音声を再現するというのは不可能ではないはずなんです。(300話ほどの録画が集まるのかという問題もありますが…)

Re: 【一般家庭から音源を募集することについて】

>>若小松様

私もフィールドワークス社と『吹替の帝王』シリーズについては存じております。吹き替えの帝王についてはダイ・ハード3やプレデターでトラブルも発生しているようですが、民間の録画から音声が取られた例として大変興味深いと思います。

ただしドラゴンボールの例と大きく異なる点は、映画の吹き替えの場合音声そのものが録画以外に現存しないということです。「より良いもの」を募っているのではなく、一般からの提供抜きにこの世に存在自体しないわけで、ソフト化そのものが自前の素材では不可能なわけです。これはNHKの録画・録音の募集も同じです。しかしドラゴンボールの音声の場合は十分ソフト化やテレビ放送に耐えうる音声マスター自体が製作側の手元に現存しているので、ただそれを「より良く」する以外に集める動機がありません。ここにわざわざ金を費やすことに売る側が意義を感じるか否か、ここが実現のうえで最大の壁だと思います。

また、記事内では触れませんでしたが、音質面において本放送のテレビ録画の方が明確に劣っている点が一つだけあります。テレビ放送時には一般家庭の音響設備で聞き取りやすくするように実際のマスターよりダイナミックレンジを狭めてしまいます。最小音量と最大音量の差を縮めてしまうということです。これについては例え光学トラックが音域等の面で劣っていようとテレビ録画よりは原音に近いですし、明確に「マスター」として製作側が意図して残したお墨付きのものである以上はこちらが優先されるわけです。プロの観点から見れば聞き手にとってどちらが良いかに関係なく、「信頼性」の高いお墨付き素材の方が「正当」なものなんです。この点について例えその「信頼性」が無くても比較上明らかに良く聞こえるものに客観的な視点でもって価値を見出してくれるか、これも大きな壁ですね。

録画が集まるかどうかに関してはさほど問題にならないと思っています。年齢の高い放送当時からのマニアならまとめて全て保管している人もそれなりの数いるでしょうし、実際に私の知っている範囲でも全シリーズ録画して大切に保管している人は複数います。ただ、中にはDVDが発売された時に「ようやく捨てられる」と安心して処分してしまった人もいるでしょうね。

シネテープナシでのステレオ化ですが
近年一つの可能性が出てきました。

SONDOR・RESONANCESというフィルムの光学トラックを撮影し、そこから音声マスターを制作する、という手法で
七人の侍などの修復で用いられたようです。

もっとも、キングコング対ゴジラの修復で有名になった東京現像所にしか無いらしいんで、それを東映に、しかもテレビアニメに使えるかは疑問ではありますが・・・

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Author:file_under & ケイ
世界のドラゴンボールの管理人です。気が向いたら更新していくのでよろしくお願いします。

ドラゴンボールや北斗の拳の本放送の録画をお持ちの方がいらっしゃいましたらこちらまでご連絡下さい。worlddbz@live.jp

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