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なぜPAL方式のアニメ・映画DVDは再生速度が速いのか

*この記事は3年前に書いた内容を書きなおしたものです*

 今回はドラゴンボールに限定した話ではなく、ビデオやDVDの映像方式についての豆知識を書きたいと思います。

 私のように海外版のアニメを観ることが好きで、様々な国の映像ソフトを集めていると、いずれとあることに気がつきます。ヨーロッパなどの映像方式がPALのものは微妙に映像の再生速度が速く、音も半音ほど高いのです。2009年辺りだったでしょうか、円高・ポンド安の関係でイギリスのAmazonでアニメDVDを買うと安いということで、大量の日本のアニメオタクがイギリスのAmazonからアニメDVDの個人輸入をするなんてことがありました。その時に日本とヨーロッパの映像方式の特性の違いをよく理解していない人が、「なんだか再生速度が速い」といったことをブログや質問サイトに書いている様子をいくらか目にしたことを憶えています。これには、とある明確な原因が存在します。

 主にアニメというのは昔からフィルム撮影で制作されていましたから、一秒間に24枚の画像を入れ替わり立ち代り表示することによって、動く絵としているわけです。それは制作がデジタルに移行した現在でも変わらず、アニメは主に秒間24コマ(以下24fps)で制作されています。映写機であれば単純にその一枚一枚の画像を映すことによって表示することが可能ですが、家庭にある普通のテレビではそうはいきません。

 日本で売られているテレビはどれもアメリカと同じNTSCという規格に則った映像方式を採用しています。この方式は一秒間に約59.94回(以下60Hz)飛越し走査によって映像を更新し、主に秒間約29.97コマ(以下30fps)の映像を映しています。飛越し走査というのは別の言い方でいえばインターレースと呼ばれるもので、画像のチラつき感を防止しつつ放送波の周波数帯域を節約するため、縞状に交互に映像を更新することです。この縞状に割られた映像の片側をフィールドと呼びます。この60Hzのフィールドの更新によってのテレビで24コマのアニメ・映画の映像を表示するためには、3:2ドロップダウンと呼ばれる処理を施します。これは簡単にいえば、24fpsと30fpsの差である6コマ分前後と同じ映像を表示して違和感なく再生することです。  ※近年では映像ソフトも24fpsのプログレッシブ方式(飛越し走査ではなく一枚一枚画面全体の映像が入っていることです)での収録が主ですし、TVもプログレッシブでの表示が可能なものが多いため、HDテレビに移りゆく今では必ずしも必要な処理ではなくなってきています。

 しかし、ヨーロッパなど他世界の大多数の国で採用されているPALSECAMといった映像方式では事情が異なります。これらの映像方式は秒間50回の飛越し走査による映像の更新によって25fpsの映像を表示しますから、日本やアメリカのNTSCと違って3:2ドロップダウンは通用しません。フィルム映像の24fpsと差は一コマしかありませんから、そこだけ前と同じ映像を表示しても映像がカクついて上手くいきません。そこでどうしたかというと、大して気にならない程度の差だということで、次の1秒の最初の一コマを前の一秒の最後に持ってきて、本来24fpsの映像を無理やり秒間25fpsで流すことにしたのです。つまり図で表せばこういうことです。






 こうして次の秒の最初のコマを前の秒に敷き詰めてしまった結果毎秒一コマ分、24秒間で本来より一秒分再生速度が速くなってしまいました。PAL圏のアニメDVDを買って違和感を覚えた方は、この4%程の差を感じ取ったわけです。実際この4%分というのはけっこう気になるものでして、例えばドラゴンボールZで比較するとこれくらいの差があります。


24fps再生(日本語版)


25fps再生(フランス語版)



 下のフランス語版は明らかに音が高くなってしまっているのが分かりますね。叫び声が日本語音声に切り替わる部分では声のピッチの違いも明白です。しかしこういったPAL圏でのTVアニメの吹き替えは最初から秒間25コマ再生を前提にやってしまっていますから、逆に本来の速度に戻すとキャラクターの声だけが変に低くなってしまいます。ですから、PAL圏の吹き替えはもうそういうものだとして速い再生速度で観るのが恐らく最善でしょう。

 しかしながら日本語音声目的で安いPAL盤DVDを購入された方の中には、どうしても本来の再生速度でご覧になりたい方がいるかと思います。そういう場合はWin DVD(有料)等のPAL方式のDVDの再生速度を戻す機能を備えたDVD再生ソフトを使って視聴しましょう。それ以外にはAdobe Premiereなどのソフトを使って24fpsに変換するといった手段がありますが、有料の映像編集ソフトの場合は値段がバカにならない上にフリーソフトを使えば大変な手間が掛かりますので、ただ単にPC上で視聴したいだけの方は前述のソフトを使った方が宜しいでしょう。

 ただ、PAL方式のDVDであっても一部例外は存在します。PAL圏に輸出された際フィルムや秒間24コマの映像ではなく、3:2ドロップダウンにより30fpsに変換されたNTSC形式のビデオテープが用いられたものと、25コマ目に前のコマと次の秒の最初のコマを半フィールドずつ重ねあわせたコマを挿入して再生速度が調整されているものです。前者は主にTVアニメがD2などのビデオテープによる納品が主だった90年代から2000年代初期の作品に存在します。後者は滅多にありませんが、PAL方式であっても本来の速度で視聴したいファンのためにこういった処理がなされることがあります。しかしこれらの処理を施すことにより画面に残像や微妙なカタつきが出てしまいますから、かえってこれを嫌う人も少なくありません。他にも映像・音声共に再生速度は4%上げつつも今のデジタル技術を用いて音声のピッチを保って変換される例もあり、これならば残像などの映像面の問題をクリアしつつ音声のピッチも正しくなっています。

 こういった前世紀での採用方式の食い違いによって21世紀となった今でも消費者が振り回されるのは嫌なものですが、一旦違う道を歩んでしまったからには前の素材との互換性もありますし、その他利権がらみで様々なことがありますから、世はハイビジョンが主流となった今でも世界の映像方式の規格統一は為されていません。何とも歯がゆいものですね。ただし、PAL圏のTVでもHDMIのデジタル信号なら24fpsの入力に対応しているため、Blu-rayの視聴時のみはNTSC圏と全く変わらない環境で試聴することも今となっては一応可能になりました。



※最初に書きました通り、この記事は3年前に書いた内容に手を入れて大幅に書きなおしたものです。当記事をPALの再生速度に関する解説に引用されたりする方が少なからずいらっしゃるようなので、動画のリンクや記事内の不明瞭な部分を修正して再アップしました。
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